快楽の園

The Pleasure Garden/1925年/ゲインズボロー作品/白黒/無声/制作:マイケル・バルコン、エリック・ポマー/原作:オリヴァー・サンディス/脚色:エリオット・スタナード/撮影:バロン・ヴェンティミグリア/出演:ヴァージニア・ヴァリ、カーメリタ・ゲラーティ

快楽の園 – 解説

ヒッチコックはイギリスの撮影所でサイレント映画の字幕デザインの仕事によって映画入りし、1922年に「第十三番」(または「ピーボディ夫人」)という映画を監督したが、本国でも未公開(または未完成)に終わった。その後、映画美術、助監督、共同監督などを務め、1925年にイギリスの制作者マイケル・バルコンに認められ、ドイツのミュンヘンにあるエメルカ撮影所で一本立ちの監督としてデビューすることになった。
そのヒッチコックの第1作「快楽の園」は皮肉な運命をえがくメロドラマで、ヒッチコック自身は特別の愛着を抱いていない。しかし、主人公の結婚の未来を暗示する不吉なショットや、全編を通じて構図やモンタージュにあらわれる線の交差する大胆な演出など、すでにヒッチコック・タッチを見ることができる。

快楽の園 – ストーリー

劇場「快楽園」の踊娘パッシーは或日踊娘志願の田舎娘ジルを救って自分の下宿に伴って来た。翌日機敏なジルは首尾よく雇われることが出来た。ジルにはヒュウという婚約者があったが彼はアフリカに出稼ぎに行って結婚費を得ようと出発した。彼の友人レヴェットはパッシーを恋して結婚しイタリアへ新婚旅行に出掛けた。ジルは次第に放縦に流れバッシーの意見を耳に入れずイヴァン公爵という遊蕩児をパトロンとすると共に支配人のハミルトンを抱込んで劇場の首尾をよくしたレヴェットもヒュウの後を追ってアフリカに赴き妻のことは忘れて恋を漁った。ヒュウはジルを想っていたがジルが公爵の愛妾となってしまったことを聞いて悲嘆せずにはいられなかった。