巌窟の野獣

1939年/白黒/原作ダフネ・デュ・モーリア/脚本シドニー・ギリアット、ジョーン・ハリスン/出演チャールズ・ロートン、モーリン・オハラ、ロバート・ニュートン

巌窟の野獣 – 解説

「レベッカ」の原作者でもあるダフネ・デュ・モーリアの原作からアルフレッド・ヒッチコックが渡米直前に製作したスリラー。イギリス時代最後の作品である。この作品はサスペンスというよりは冒険アクション仕立てのコスチューム・プレイであり、カメラが人物とともに、マストのてっぺんから投げ出されるように見える演出などはあるというものの、精緻さにも欠け、絶頂期のヒッチコック作品としては見劣りのする結果になってしまった。脚色は、「青の恐怖」「夜霧の都」のシドニー・ギリアットに、「レベッカ」「断崖」のジョーン・ハリソンが協力している。撮影は、「世紀の女王」のハリー・ストラドリング、監督に転向して「赤い百合」などを放っているバーナード・ノウルズが担当している。

巌窟の野獣 – ストーリー

母を失って孤児になったメリイ(モーリーン・オハラ)は、たった一人の身寄りの叔母ペェシェンス(マリー・ネイ)を頼って、彼女が経営するホテルへと行くことにした。馬車に乗って行ったが、馬車はそのホテルの前では止まらず、随分過ぎた山の中で止まった。メリイは近くに一軒だけある豪邸の門を叩いた。そこに住む立派な紳士ペンガラン(チャールズ・ロートン)に助けられ、叔母のホテルまで送ってもらった。すると、ホテルは驚くほど荒れていて叔母の夫だというジョス(レスリー・バンクス)がガラの悪い仲間とともに酒宴を開いていた。叔母もすっかり疲れ切った様子で老け込んでいた。