山羊座のもとで

1949年/カラー/原作ヘレン・シンプスン/脚本ジェームズ・ブライディ/出演イングリッド・バーグマン、ジョセフ・コットン、マイケル・ワイルディングー

山羊座のもとで – 解説

「レベッカ」に見られた階級の差からくる不安感、アイデンティティ? のもろさのようなものがこの映画でも描かれており、ジョセフ・コットンがイングリット・バーグマンとの間の階級差に悩み、その裏ではコットン邸でメイドをしている女がコットンとの間の階級差に悩んでいるという階級差の二重構造としてこの映画に存在している。コットンのキャラクターは複雑だが、いい人であることは間違いない。この他の登場人物たちも基本的にはいい人である。バーグマンは夫のことを心から愛しており、マイケル・ワイルディング演じる青年もバーグマンへのほのかな愛情を隠している。この映画でただひとり悪意を抱いているメイド。酒瓶を下女たちに見せるシーン、ミイラを小箱にしまうシーン、ひそかに薬を飲み物に潜ませるシーンなど、彼女に関するシーンではこの映画の特徴である長回しが生きてくる。階級差に悩むメロドラマとしてもなかなかおもしろい作品である。

山羊座のもとで – ストーリー

1831年シドニー。アイルランドの富豪の娘ヘンリエッタは、彼女の兄を殺し、この地に流刑になった馬丁のサムと恋に落ち、結婚。今ではサムも土地の名士にのしあがっている。幼なじみのチャールズが、彼女を訪ねると、アルコールにおぼれ、家政婦ミリーに怯えていた。ミリーは、チャールズとの伸が怪しいとサムに告げる。嫉妬に狂うサムにチャールズは撃たれ重傷を負う。サムは逮捕されるが、兄を殺したのは自分でサムは身代わりに流刑になったとヘンリエッタが告白。釈放される。しかし、ヘンリエッタの中毒は進み、幻覚に悩まされるほどになった。サムに恋するミリーがヘンリエッタの酒に少量ずつ毒を混入していたのだった。