ダイヤルMを廻せ!

1954年/カラー/原作フレドリック・ノット/脚本フレドリック・ノット/出演レイ・ミランド、グレース・ケリー、ロバート・カミングス

ダイヤルMを廻せ! – 解説

戯曲どおり設定をほとんどロンドンの一アパートの内部に限り、その結果、ドラマの状況の変化を生み出す面白さをショットではなく多量のセリフに頼っているが、ヒッチコックはけっして映画的な処理をおこなったわけではない。戯曲を映画化するとき、多くの映画人がやるように舞台の枠をはみ出させようとするのではなく、むしろ舞台の制約に忠実であることを好むと言う彼は、ここでもそれを実行しているわけだが、きわめて演劇的は威圧感はなく、映画本来の妙味に貫かれている。
「私は告白する」に次いでアルフレッド・ヒッチコックが監督したミステリイ・ドラマ1954年作品。フレデリック・ノットの戯曲およびテレビ劇を作者自身が脚色した。撮影のロバート・バークス、音楽のディミトリ・ティオムキンも「私は告白する」と同じスタフ。主演は「午後の喇叭」のレイ・ミランド、「モガンボ」のグレイス・ケリー、「逃走迷路」「恐怖時代」のロバート・カミングスで、ジョン・ウィリアムス(1)、アンソニー・ドーソン(「鷲の谷」)らが助演する。ワーナーカラー作品、3D立体映画であるが、日本公開は平面版になる。

ダイヤルMを廻せ! – ストーリー

ロンドンの住宅地にあるアパート。その1階に部屋を借りているトニー(レイ・ミランド)とマーゴ(グレイス・ケリー)のウエンディス夫妻は、表面平穏な生活を送っているように見えたが、夫婦の気持ちは全く離ればなれで、マーゴはアメリカのテレビ作家マーク・ホリデイ(ロバート・カミングス)と不倫な恋におちており、それを恨むトニーは、ひそかに妻の謀殺を企てていた。トニーはもとウィンブルドンのテニスのチャンピオンで、金持ち娘のマーゴはその名声にあこがれて彼と結婚したのだが、トニーが選手を引退してからは、彼への愛情が次第にさめていったのである。トニーは大学時代の友人でやくざな暮らしをしているレスゲートに、巧みに持ちかけて妻の殺人を依頼した。