サボタージュ

Sabotage/1936年/シェファード=ゴーモン・ブリティッシュ作品/白黒/製作:マイケル・バルコン/協同制作:アイヴァ・モンタギュ/原作:ジョセフ・コンラッド/脚色:チャールズ・ベネット/撮影:バーナード・ノウルズ/音楽:ルイス・レヴィ/編集:チャールズ・フレンド/出演:シルヴィア・シドニー、オスカー・ホモルカ、ジョン.ローダー

サボタージュ – 解説

「暗殺者の家」「三十九夜」「間諜最後の日」とつづくこの時期のヒッチコック作品はどれも彼の実力を示すものばかりだが、前記作が犯人を追跡する行為のなかでサスペンスを生みだしていったのに対し、ここでは一定の場とその日常描写から生まれるサスペンスの追求を行っている。原作はジョセフ・コンラッドの小説「諜報部員」だが、今回は原作にかなり忠実でありながら、しかしやはりヒッチコック流に仕立てた。
各エピソード、各場面、視覚的造形性、セリフなどの関連はますます緊密になり、喜劇的なタッチを挿入する独自な話芸はいっそう明瞭で意識的になってきた。
また、この作品は観客の同情を買うべきヒロインが殺人を犯すという点で、たとえば「ゆすり」に似ているが、凶器であるナイフの扱い方や、ヒロインが殺人の罪を逃れる設定など共通点が多い。ヒロインを演じたシルヴィア・シドニーは演技力の確かなハリウッドの女優である。

サボタージュ – ストーリー

破壊工作活動をする無政府主義者の夫と、その正体を知らぬ妻。夫が時限爆弾を運ばせたため、妻の弟は爆死。弟の復讐に燃える妻は、夫を刺殺し、完全犯罪をもくろむが。